デジタル社会の弊害?デジタルの頼りすぎがよくない理由
現金を使う機会がキャッシュレス化によって減りました。お釣りを数えたり、現金をいくら渡すか考えたりしなくてよくなり便利な時代です。また、スマホの普及で簡単にWeb上の必要な情報にアクセスできる時代になりました。お友達との連絡もSNSやLINEでいつでもどこでも気軽にできます。
しかし、そんな便利なデジタル化した社会が学力向上の観点から見ると、むしろマイナスに働いている面があります。そんなデジタル化した時代だからこそ、家庭教師の指導にも工夫が必要な時代なのかもしれません。
本記事ではデジタル社会で伸ばしづらくなった学力と、家庭教師ができることについて解説します。
不便だからこそ算数を使う機会が増える
まず、キャッシュレスに慣れすぎると算数を使う機会が日常的に減ってしまいます。例えばSuicaのようなICカードにお金をチャージして現金を使う機会がないと、お釣りを数えたり、いくら渡すとレジの人が困らないかを考えたりすることが必然的に減ってしまいます。小学校の算数の文章題や例題で、レジでの現金のやりとりのシーンが出てくることがあります。しかし、キャッシュレスにあまりに慣れすぎていると、実感がなかなか湧きづらくなります。具体的にお金を数える機会、渡す機会などのアナログな体験を積む機会が減っていることを、指導する側は改めて認識しておく必要があるでしょう。
Webの文章に慣れても読解力を伸ばしづらい
Webの文章はスマートフォンでも隙間時間に読めるように、一文を短めに、平易な表現で書くことが推奨されています。そのため、Webの文章に慣れすぎると本を読む力が育たないということがあります。中学受験、高校受験、大学受験ではWebの文章のような平易で分かりやすい文章が出題されることは、ほとんどありません。Webの文章に慣れすぎることで、紙媒体の本を読む力が育たなくなります。SNSやLINEの使い過ぎで学力が下がる
SNSやLINEなどのコミュニケーションツールは便利な反面、夢中になりすぎると時間が無駄に過ぎていきます。SNSやLINEに夢中になりすぎることで、学習する時間が確保できず学力低下につながるという話も、珍しい話ではありません。スマホなどの使用時間を制限するなど、自制心が育っていない子どもには配慮が必要なこともあるでしょう。家庭教師の指導でアナログな環境を再現しよう
デジタルな環境によってオンラインで学べる講座が充実するなど、教育環境上、ポジティブなこともありました。その反面、アナログな社会生活の中で培われる能力が伸びづらくなってしまう弊害も生まれました。そんな中、家庭教師の指導はどうあるべきでしょうか。
「デジタルな教育ツールやソフトなどを活用しつつ、アナログの良さも指導に生かす」
これが答えではないでしょうか。特にアナログの良さを指導で生かす工夫は必要です。
例えば小学生の算数の指導では、実体のあるモノや模擬のお金など使ってみるなど教具にこだわってみるのも、指導に効果がありそうです。「国語の指導ならば紙の本を読む機会を増やす」、「Webでは触れないようなタイプの文章を読む機会を積極的につくる」、「答えを探すのではなく書かれていることをもとに答えを考えてみる」などの工夫も必要でしょう。
また、家庭教師の努力だけでは難しいかもしれませんが、普段からアナログな情報に触れる環境も意図的につくることが長い目で見ると学力向上につながります。
デジタルなツールは頭の負担を軽くしてくれます。反面、子どものうちから適度な負担になれておかないと伸びない能力や学力もあることを忘れてはいけません。
手指の感覚を育む
特に小学生を指導する家庭教師の方が覚えておくと良いのが、手指の感覚を育むことの重要性です。例えばモンテッソーリ教育では、積み木や糸通し、ビーズなど実際のものに触れながら数を数えたり、器用さを養ったりします。デジタルな教材では視覚のみしか刺激されず、子どものもつ力を部分的にしか伸ばせないなどの弊害もあります。デジタルの最先端企業の一つ、Googleの創業者がモンテッソーリ教育を受けたという話は有名です。デジタルな時代だからこそ、アナログで培われる教育をしっかり着目することが必要です。