家庭教師は受験に失敗した生徒にどう指導するべき?
受験に成功した生徒を送り出すのは難しくありません。「合格おめでとう!」だけでも済んでしまうからです。家庭教師の力が問われるのは受験に失敗した生徒への対応です。これは家庭教師だけでなく小・中・高の教師の進路指導でも同じことが言われています。
本当に難しいのは受験に失敗した生徒へのフォローです。残念ながら指導した生徒が全員、第一志望に合格するとは限りません。また不本意入学を引きずってしまい進学先で卑屈な態度をとってしまい前に進めなくなる生徒も出てきてしまいます。
では、どのように生徒に指導するべきなのでしょうか。基本は受験合格より先にある生徒の未来を明るく前向きにするような指導です。受験に失敗してしまった生徒への指導について解説します。
本当に難しいのは受験に失敗した生徒への接し方
第一志望の高校や大学に思い入れが強い生徒ほど、受験に失敗したときの精神的なショックは大きいものです。そして試験はいくら対策をしても最後は「水物」です。どうしても運の要素が絡んでしまうので、模試でいくら合格判定でAをとっていても失敗してしまうことはあります。特にセンター試験から大学入学共通テストへの移行で、受験のルール自体が大きく変わり定石と言われる対策が通じなくなってしまうことも珍しくありません。例えば第一回の大学入学共通テストの英語の問題は、事前に確認できたらサンプル問題よりも難易度が高く量も多く、SNSでは多くの受験生が悲鳴をあげていました。特に2021年度の受験は番狂わせが多く起きると予想されます。
受験に失敗してしまった受験生によってはら落胆したり、絶望したり、燃え尽き症候群になってしまいます。自分を否定しまう態度をとってしまいます。さらに周りの生徒や知り合いと比べて、自己嫌悪に陥ります。そして多感な思春期ともなれば、接し方が難しくなるのは当然です。
鉄則:失敗を絶対に責めないこと。失敗した生徒もほめてあげること。
家庭教師がまず受験に失敗した生徒にしてはいけないのは、受験失敗を責めることです。もちろん、露骨に受験失敗を責めるような家庭教師はいないと思います。しかし「ここをこうすれば、合格できたかもしれない。」というような、一見、建設的な意見も生徒にとっては責められているように感じてしまう可能性があります。
受験に失敗した生徒、第一志望に合格できなかった生徒には、「よく頑張ったね」とほめてあげましょう。第二志望、第三志望の合格までも肯定的な声をあげてあげましょう。
具体的に今後の進路を一緒に考えてあげる
結果を受け止めたうえで、今後の進路相談に乗ってあげることも大切です。例えば大学ならば医者や看護士のように特定の学部を出なければ、なれない職業もあります。例えば偏差値が高い、低いだけの問題ならば職業選択には影響はないでしょう。しかし、そうでないケースなら目標にしている進路をそもそも諦めるのか、浪人するのかといった選択も決めなければいけません。また浪人する場合、家庭教師を継続するのか予備校を紹介するのかといった学校卒業後のアフターケアも欠かせません。保護者や家庭教師センター、また生徒が在学している学校の指導も勘案しながら生徒と一緒に進路を考えてあげることも大事です。
本当に受験に失敗したのか?第一志望でなくても夢は実現できる
そもそも受験に失敗したのか?という考え方もあります。例えば偏差値70の法学部が第一志望だったのに、落ちて偏差値が60程度の法学部は合格したとしましょう。そこで生徒が大学のネームバリューだけを見てしまい、浪人を決断するとしたら一度、考える機会を設けてみるといいかもしれません。偏差値70の法学部に落ちたから来年、合格できるかどうか分からないのに1年浪人して無駄にするよりも、偏差値60の法学部に入って司法試験や司法書士、行政書士などの勉強に早くとりかかる方が良いという考え方もできます。実は生徒が失敗したと思っているだけで受験の先の人生には、それほど大きな影響がないこともあります。家庭教師は一歩、先をいく大人として生徒にアドバイスをしてあげましょう。