学力は生まれつき?努力次第?2つのマインドセットを解説
「親ガチャ」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。2021年に流行語大賞にノミネートされました。生まれもった容姿や能力、家庭環境によって人生が大きく左右されてしまうことを、カプセルトイやスマホゲームのランダムで獲得できるアイテムになぞらえた言葉です。
例えば、「親ガチャに外れたから自分は頭が悪い、運が悪かったし仕方がない」など、どちらかといえばネガティブな文脈で耳にすることが多いかもしれません。家庭教師アルバイトで「親ガチャ」を理由に学力向上を半ば諦めている生徒を指導することになったらどうすれば良いのでしょうか。そんなときに、家庭教師が知っておくと良い2つのマインドセットがあります。本記事では2つのマインドセットについて紹介し、どのように生徒に接するべきかを考えていきましょう。
努力次第で学力は伸ばせると信じるグロースマインドセット
親ガチャは関係ない、努力次第で学力は伸ばせると信じていることを「グロースマインドセット」と呼びます。スタンフォード大学で心理学の教授として活躍するキャロル・ドゥエックによって提唱された概念です。やり方や努力次第で状況は変えられるし、学力も伸ばせるという前向きな考え方です。
グロースマインドセットの人は、挫折や障壁があっても、挫けずに学んで努力を継続でき、失敗を自分の努力不足とみなし、試行錯誤をして乗り越えようとします。同じ学力でもグロースマインドセットがあると学力を伸ばしやすくなります。遺伝・親ガチャで学力を伸ばすことはできない、努力なんて無駄だと考えていると努力で伸ばせたとしても、その可能性を放棄してしまうことになりかねません。
学力は生まれつきと諦めるフィックストマインドセット
能力は生まれつき決まっていて努力したって変わらないと信じていることを「フィックストマインドセット」呼びます。分かりやすくいえば「親ガチャ」にはずれたから勉強なんて無駄だと考えている生徒の考え方が、フィックストマインドセットです。最初から努力で学力を伸ばすことを諦めてしまっているので、すぐに生まれつき頭が悪いと勉強をしなかったり、試行錯誤もせず無気力になりがちだったりします。仮に素晴らしい才能、勉強すれば伸びる素質があっても、フィックストマインドセットだと学力が伸びづらくなってしまいます。生徒のマインドセットを決めるのは誰?
生徒のマインドセットを左右するのは、誰なのでしょうか。生徒自身なのでしょうか。実は親や先生を含む生徒の周りの大人がマインドセットに強い影響を生徒に与えます。例えば、生徒がテストで100点をとっても結果だけを見て「あなたはもともと頭がいいからね。さすがだね。」という声がけはどうでしょうか。一見、褒めているように聞こえますが、生徒の努力の過程を評価していません。このように生徒の努力や結果に至るまでのプロセスをしっかり見守って、過程も評価してあげないと、子供は「学力なんて生まれつきだ」と刷り込まれてしまいます。そして、人生は親ガチャで決まって運次第という考え方に至ってしまうのです。家庭教師の接し方で生徒のマインドが変わる
家庭教師も生徒のマインドセットに影響を与える大人の一人です。もし、生徒の学力を本当に伸ばしたいと考えるなら、当然、生徒にはグロースマインドセットが身に付くように接する必要があるでしょう。つまり、努力次第で困難は乗り越えられることを生徒に信じてもらわなければいけません。そのためには、家庭教師は生徒のテストの点数など目に見える結果だけでなく、努力の過程もしっかり評価してあげることが欠かせません。生まれによって数学・国語などの先天的な能力はある程度、決まっているという考え方もあります。それ自体は事実かもしれません。しかし、フィックストマインドセットを持ってしまうと本来、伸ばせたはずの学力も伸びなくなってしまいます。他人と比べることも時に必要かもしれませんが、過去の自分と比べて成長が実感できるように家庭教師は生徒を支援してあげると良いでしょう。